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2024/01/28 16:44

お世話になっております。オーナーの荒井です。


本日は朝起きてから何かしようと考え、自身の育てたデニムを振り返って眺めてみました。ほつれた縫製や、歩く地面との摩擦で擦れた裾に激しい色落ちによるアタリなど、過去の思い出と共に過ごしたデニム達との思い出は感慨深いものです。

特別に一部だけお見せいたします。

20471120 6pocket selvage jeans



これはスタッフより受け継いだ思い出ある逸品です。
当時2年前ぐらいにデッドストックの状態で手に入れてそこから数ヶ月履いたものを受け継いだものになります。
当初の濃紺の色味よりも色落ちが進行しており、所々にアタリが見受けられます。
デニムの色落ちというのは元来の侘び寂びの哲学を踏襲しているものであり、特に日本製のデニムは美しい日本の哲学が内包されているような気がして愛して止みません。

一つ一つの愛が感じられる服を纏っていられるのは日常において非常に重要であると感じており、作業着を愛せるといった日々の幸せを感じております。


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さて本題に入りますが、今回はCETTENにおけるアーカイブの役割を自身の見解と共に記していこうと思います。

まず、デザイナーズブランドの一般的で社会的な役割としてはある一般的な服に対してデザイナーの想いを包み込んだアートのようなものであると捉えます。

戦後より続く消費傾向の変遷のようなものに沿ってデザイナーズブランドは進行していると考えております。

言い換えれば、戦後は寒さを凌ぐため、生きていくために服は機能的なものが必要とされた。(モノ消費)
次に高度経済成長期に入り、日本はGDPは世界2位にまで成長し、消費傾向は相対的な消費傾向となり、いわゆるブランド物といった消費に変わった。直接的な消費、華やかであるのが良いといった消費傾向。これにより個性を出す事をより重視される時代になり、カルチャーとして様々なファッションが広がっていった。

これが長く続き、90年代には様々なジャンルの台頭を迎える。ストリートを筆頭に、パンクやグランジ、バブル期のカウンターカルチャーとしてのミニマル・モードなど。

ここの時代にファッションは芸術性や多様性といった記号としての価値を有したのではないかと考えております。(ある種のコト消費に近い物)

そこからアパレル業界は海外の大量生産や多品種少量生産の時代の到来で服が安く買える時代が到来し、それに対してファッション業界はサステナブルや希少性の高い生地を使い、差別化を図り、価値をあげたり消費することの意味に対して大きく抗議した事により、イミ消費の傾向が強くなりました。

イミ消費の傾向が強くなる事で、この特定のブランドの服を着ている事で日常が豊かになる。この服を買うとどこかの孤児院に寄付される。何かを応援できる。そういった価値観の元ブランドは発展していきました。

そういった変遷を経てデザイナーズブランドは希少性やデザイナーの想いやオーラを纏ったような服が時代と共に売れていったのではないかと考えます。

アーカイブはそういった想いを身に纏った作品を研究する学問であると感じております。

またアーカイブの役割とは、世代間の価値観の共有であると感じております。

世代間の価値観の共有により、相互理解が深まり各個人の新たな道が開ける、これまで以上に文化の発展を促す事ができるはずです。

例えば、アーカイブを若者が見にまとう事により、ひと回り上の上司や学校の教授などとの接点が生まれる可能性がある。

当時の作品(アーカイブ)を研究してそれにより新たな価値観の創造や発展することができる。そこから確実に新たなデザイナーやアーティストなどが誕生するはずです。

反対にX・Y世代の大人の方々も当時を懐かしむノスタルジックな感覚を手に入れる事ができる他、現代の若者の新たなスタイリングや、価値観の捉え方により新たな道が開けるはずであると確信しております。

詰まるところ、CETTENのアーカイブを扱う目的は「世代間の相互理解」を目的としております。

世代間の相互理解を加速させ、より社会を円滑化させる事にあります。

またこの度ブログにてお伝えしたい事の一つとして
Z世代の自身がZ世代に物申すのも可笑しな話ですし、烏滸がましい話ですが、「老害など存在しない」という事を敢えて申し上げたいです。

Z世代は特に他世代との共有が難しいとされております。
我々Z世代はネットネイティブであり、拡散する能力を有しているが故に社会的に人を駄目にしてしまう事などを簡単にできてしまう危険性も孕んでおります。
ある種武器を有しており、多様性が広がり、働き方などに改革がある事により今までよりも自由に生きる事ができるようになったが故に他世代からすれば非常に恐ろしい存在であると考えております。

また、ビジネスの主戦場がインターネット上になり、二次空間の中に価値を有することができる時代になりました。

そんな我々は大きな叡智を既に有していると共に大事な価値観が失われた事も認識せねばなりません。

大量の情報取得により脳が混乱し、自身の信念を築く事がより難しくなりました。

ある種科学の発展や何もかもが見える化されたが故に事実のみを知ることができます。

しかしながらそこに含まれた時代の変遷や、感情の変化なども含め、人間が唯一有している感情が弱まってきてると言えるでしょう。

その解決のためには先人の方々からの教えを受け、それを受け入れる事です。

また人間の生き方としてコミュニケーションを円滑にするための概念として自己承認よりも他者承認が先であると考えております。

そういった事をアーカイブを通じてまだ未熟な私達がこの「アーカイブ」というコンテンツを使って相互理解していく流れになれば世の中はもっと面白くなると考えております。

自身で書いていて気づきましたが、こんなに長くなると思わなかったです。笑

まだまだ書きたいことは山々であとこの3倍は書けますが、今回はこのぐらいに敢えてしておきます。

考え方は人それぞれですし、一つの例として捉えていただけると幸いです。この考え方を直接受け取らずともアーカイブの役割をもう一度実感考えてみた際に新たな見方ができるかも知れません。

なんだかんだ言いましたが、結論、ファッション楽しみましょう。

今回もご一読頂き誠に有難うございました。

CETTEN 代表 荒井